ROOTSJDL ALLJAPAN SILVIA DRIFT FESTIVAL 2019 REPORT

雨で刻々と変わる路面コンディションを制すシルビア/180SX使いは誰だ!

2019年9月29日、新潟県日本海間瀬サーキットにおいて、ROOTSJDL ALL JAPAN SILVIA DRIFT FESTIVAL 2019が開催された。

このイベントは5月に日光サーキットで行われたAE86カローラレビン、スプリンタートレノだけというワンメイクのドリフトイベントのいわゆる“続版”で、今回はシルビア/180SXのワンメイクで行われた。
今回のワンメイクドリフトに参戦する車のベースとなっているのは1988年(昭和63年)に登場したS13、1993年に登場したS14、1999年に登場したS15の3世代のシルビア。そして1989年(平成元年)~1998年まで販売された180SXで、さらにフロントがシルビア、リアが180SXのシルエイティやその逆のワンビアなどワンメイクながら多彩なバリエーションを誇るのが特徴だ。
S13型シルビアは登場した当時、ホンダプレリュードと若者のデートカーと一世を風靡したが、登場から30年以上経っても世代を超えた若者に支持されているのはFR車ならでは。

そんなシルビアに対して、土屋圭市氏は
「シルビア/180SXは誰でも乗りやすいクルマだよね。2Lターボエンジンを搭載して、パワーもあるし、FRの入門車としては最適だよ。S13~S15までシリーズを通して、乗りやすいし、途中S14は3ナンバーボディとなったけどクセがなくマイルドさがあって誰にでも乗りやすい」
とシルビアの印象を語る。

イベント当日は朝から雨が降り時より強く降るという最悪のコンディション。
しかし土屋氏は
「シルビア/180SXのワンメイクイベントだから、クルマのパワーや性能差はほとんどない。したがってドライバーのテクニックと度胸がハッキリと差が出る。ドリフトのイベントだから、まず審査員だけでなく、観客を沸かせる迫力が必要、その上で侵入角度、スピード(区間タイム)の3拍子揃ったドリフトを決めてこそ、真のシルビア/180SX使い日本一と言えると思う」
と話してくれた。

ほぼ同じ性能のクルマによる競技なので、見ている観客もドライバーのスキルがストレートにわかるというのも非常に面白いはずだ。

当日は、日本各地からシルビア/180SXが73台集結。この73台のクルマが、初級、中級、上級、オープンという4クラスに分かれて、初級、中級、上級はドリフトコンテストを行い、オープンクラスではトーナメント戦を行い、シルビア/180SX使い日本一を決めようというものだ。

朝から時折強く降る雨によって路面はウェットコンディション。
初級や中級クラスではスピンするクルマが続出。中にはドリフトを諦めてグリップで走行する人も。
しかし上級クラスになると厳しいコンディションの中キチッとドリフトを決める人が増えてくる。
そして最も雨の強かったオープンクラスの単走ではタイヤスモークではなく、路面に溜まった水を巻き上げながらドリフトを決めてくるのだった。
オープンクラスでまず単走2本が終了し、トップはNo.82の神谷幸助選手、2位はNo.78の野島卓弥選手、3位No.77の堀川清男選手となり、それぞれに単走後インタビューを行った。 。

オープン単走1位

神谷選手コメント
練習走行時の路面はヘビーウェットでしたし、予選の単走になると路面がちょっと乾き始めるという変化があったので、1本目は無難に攻めました。
2本目は1本目が成功して高得点だったので、思い切って攻めようとしたら、路面の状況が変わっていてちょっと引っ掛かってスピンしてしまいました。
追走への意気込みは路面次第ですけど、ウェットかドライのどちらかになれば勝てる自信はあります。チョイ濡れだけは避けたいですね。

堀川選手コメント
できるだけ、最終のアウトラインに乗せようと意識してしました。追走はやるだけやります。

林選手コメント
単走は2本走れるのですが、1本目はある程度良い点数が取れたので、2本目はアグレッシブに攻めたら2コーナーではらんでしまって。修正点はそこかなと。追走はあまり攻め込みすぎず落ち着いて行こう。

土屋さんコメント
やっぱり、ワンメイクは良いよね。面白い。このことは日光で行った86でよくわかった。
様々な車種が出場すると、パワーがあるほうが勝ってしまうし。同じコンディションであれば純粋にドライバーの腕の差で勝負が決まる。観客にも凄くわかりやすいと思う。
単走トップだった神谷選手はうまいね。迫力もあるし、速さもある。カッコイイドリフトに不可欠な迫力とカッコ良さの2つが揃っているよ。
追走は路面がウェットだから、やってみないとわからないね。とにかく壊さないように楽しんで欲しい。

オープンクラスによる単走が終わると、ブリーフィングルームでは追走のトーナメントの対戦相手が決められていく。単走上位8人はシード選手となり2回戦からの参戦となる。このトーナメントではどこに入るかにより強い相手と速く当たるかが決まっていく。

初級、中級、上級クラスのドリフトコンテストが終わると、シルビア/180SX使い日本一を決めるメインイベント、オープンクラスの追走が開始。
路面状況がせっかく乾き始めた路面を再び降った強い雨によってコンディションが悪化するなど厳しい状況。後方から追いかけるクルマがドリフトすらできないこともしばしばあった。
しかし、こういう悪コンディションほどドライバーの腕の差がハッキリと出るようで、単走上位のシード選手が順当に勝ち上がり、単走トップの神谷選手、2位の野島選手、5位の岸梅選手、9位の中村選手がベスト4に残り、そして決勝は神谷選手と岸梅選手の戦いとなった。
優勝決定戦は2回の走行となり、速さを見せた岸梅選手が優勝。そして、3位には単走で9位と出遅れた中村選手が単走2位の野島選手に競り勝った。

それでは上位3人と土屋圭市審査員長の総評を紹介しよう。

優勝 岸梅選手
今回の追走は路面コンディションがコロコロと変わる状況だったので、タイヤをドライにするのかウェットなのかという選択を最後の最後まで悩みました。
そしてコースインした後にコース上で雨用のタイヤに交換しました。ある意味難しいコンディションを読み切ったともいえますね。
そしてゼグラスのナックルを使っているのですけれど、追走の相手に対してアドバンテージを付けやすく、追いつきやすいそして乗りやすいというナックルですね。そのパーツの効果もあると思います。

2位 神谷選手
正直、残念ですね。タイヤのグリップ力の違いで置いて行かれてしまいました。相手のほうが圧倒的に速かったということです。コンディション的にはイイ感じでしたけど悔しい結果です。

3位 中村選手
よく第2ヘアピンで張り切り過ぎてミスするので、落ち着いて視界を広くという気持ちでのぞみました。
また追走で離されないようにできるだけくっついてお客さんや審査員に喜んでもらえるような走りをしました。でもちょっと最後はだらしなかったです。
同じ相手に負けてしまったので、練習して出直します。

土屋さんコメント
相当厳しい路面コンディションだったけれども、ベスト8くらいになるとみんな上手いね。優勝した岸梅は気迫の勝利じゃないかな。
ウェット路面は難しいからもちろんテクニックは必要だけどベスト8からはホント僅差だよ。あとは気持ちの強さだと思うよ。
86の時も思ったけれど、やはりワンメイクはわかりやすくていい。今度は4ドア日本一決定戦やりたいよね。
ルールがわかりやすいので、お客さんもわかりやすいし楽しいと思う。こういったイベントをどんどん開催していきたいね。