ROOTSJDL ALLJAPAN AE86 DRIFT FESTIVAL 2019 REPORT

トップ画像

ありそうでなかったAE86だけのドリフト日本一決定戦!!

2019年5月12日、栃木県日光サーキットにおいて、ROOTSJDL-ALLJAPAN AE86 DRIFT FESTIVAL 2019が開催された。このイベントはAE86カローラレビン、スプリンタートレノだけによるドリフトイベントで、AE86のドリフト日本一決定戦と言えるイベントだ。会場は500名余りの人で埋め尽くされた。

元々ドリフトは峠などで走り屋が始めたものだったが、ドリキンこと土屋圭市氏が競技化。現在は日本初のモータースポーツとして世界に拡大している。しかし競技化されたことで、よりパワーを求められるようになり、AE86は不利な状況に追い込まれ、徐々にドリフトの競技からAE86が姿を消していった。

そうした状況を見かねたドリキンが、自身の愛車であるAE86をメンテナンスしているショップ代表の鎌田芳徳氏に声を掛けて開催したのが、このROOTSJDL-ALLJAPAN AE86 DRIFT FESTIVAL 2019。

日光サーキットのパドック、駐車場をAE86が埋め尽くしたのだ。

会場86写真 会場86写真

この集まったAE86の姿を見て
「最初はまぁ30台ぐらい集まればいいかなと思っていたけれど、募集開始からわずか2日で100台の応募があって締め切ってしまった。それだけ、AE86乗りはこういったイベントを待っていたんだね。日本だけでなく、海外からも来てくれた。本当に嬉しいことだね」
とドリキンは話してくれた。

そしてこのイベントにはもう一つ目的がある。
それは走り屋とゲーマーの架け橋だ。

そのことについてドリキンに話を聞くと
「eスポーツがだんだん広まってきて、ゲーマーたちとも仲良くなって、これはゲーマーとリアルが一緒にコラボしたらおもしろいんじゃないかなというのがきっかけで始めた。
eスポーツに触れたきっかけは、ゲストに呼ばれて行ってみたら、運転がうまいよね。ほんとにスーパーGTを見ているくらいうまいよ。これはおもしろいなぁと思って、これがリアルとゲーマーがお互い交流したらおもしろいとおもって、で今回初めて開催した。ゲーマーは実際にゲームをやっている時が長いけど実際にハチロクやS2000に乗っている人もいるよ。
昔は接点が無かったけど、今はゲーマーだからとか走り屋だからとか関係なくなりつつある。そういう意味ではイベントの企画で全日本のラリーチャンピオンに勝ってしまうという番狂わせがあった。そんなことがあるの!実際グランツーリスモSPORTでヤン・マーデンボローとか、走っているけれどゲーマーがそんなレベルまで来てしまうという現在。そこがおもしろいからコラボした。」

このイベントは初級、中級、上級、極という走行4クラスに加えて、単走と追走で順位を決めるオープンクラスの5クラスに分かれて走行する。やはり初級や中級クラスはフルノーマルのAE86が多く、クラスが上がるに連れてチューニング度合いも高くなるのが特徴だ。

メインとなるオープンクラスでまず単走2本が終了し、トップはNo.79の村越亨選手、2位はNo.88の鎌田貴夫選手、3位No.91の林渡選手となった。それぞれに単走後インタビューを行った。

オープン単走1位

村越選手コメント
自分的にはまあまあまとめたかなという感じでしたが、それが予想以上に高得点でした。
特に注意したのはラインをきっちりとって、アクセルの入れ方、その辺は重要視しましたね。追走に向けてはとにかく自分の走りができるように失敗しないように走ります。

鎌田選手コメント
1本目は正直言うとミスってしまって、3コーナーで流されてしまってクリップに付けなかった。なので、2本目は確実にクリップを取れるように合わせていきました。追走にむけてはとにかく離されないようにするということでしょうね。入ってしまえば何とかなると思いますので、最終コーナーで離されないことがポイントと考えています。

林選手コメント
単走は2本走れるのですが、1本目はある程度良い点数が取れたので、2本目はアグレッシブに攻めたら2コーナーではらんでしまって。修正点はそこかなと。追走はあまり攻め込みすぎず落ち着いて行こう。

土屋さんコメント
単走が終わって、レベル的には幅が広いよね。うまい人もいれば、それなりの人もいる。でも今までのドリフトのイベントだと、色んな車種が入り乱れているから、クルマの動きが違う。
しかしハチロクだけだとめちゃくちゃ評価しやすい。同じトレッド、同じホイールベースだからドライバーの腕の差がハッキリ出るよね。これはわかりやすいよ。うまいかヘタか、速いか遅いか、一発でわかる。
高い点数を出すにはまずはラインに乗っていることそして速いこと。86といえども迫力を出すタイヤの煙はしっかりと出ているかどうか。上位者は煙も出ているから迫力はある、ラインに乗っている。速度も高い。
あと、加点じゃないけれど、1コーナーをパキーンと角度を付けて入ってくる。ぬるっと緩い角度から入ってくるんじゃなく、あれは男らしいね。

オープンクラスによる単走が終わると、ブリーフィングルームでは追走のトーナメントの対戦相手が決められていく。単走上位8人はシード選手となり2回戦からの参戦となる。このトーナメントでは9位から24位の選手は、9位から優先的に枠順を決定できる。
どこに入るかにより強い相手と速く当たるかが決まるのだ。

ブリーフィングルーム

同時にコース上で初級、中級、上級、極クラスのコンテストを開催。
これは入場時に観客に配られた投票用紙で、カッコイイ走りのドライバーを決めるというもの。ドリフトを見慣れた目の肥えたオーディエンスに対して、どれだけアピールできるのかが見どころとなった。

そして、本日のメインイベントとなるオープンクラスの追走が始まり、AE86乗りの日本一が決定するのだ。やはり単走で上位となったシード選手が強く、単走1位の村越選手、3位の林選手、4位の小泉選手そして唯一シード外から単走13位の谷岡選手がベスト4に残った。

そして、決勝戦は村越選手と小泉選手となり、圧倒的な速さを見せた小泉選手が単走での悔しさをはらし、見事に優勝。

オープン追走決勝

3位決定戦は単走でも3位だった林選手が意地を見せて、シード外から勝ち上がってきた谷岡選手を抑えて、3位を獲得した。

オープン追走3位決定戦

それでは上位3人とドリキンの総評を紹介しよう。

優勝 小泉選手
勝因は結構練習で走り込んだこと、そして今回グッドライドさんにタイヤをサポートしていただき、そのタイヤがビタッとはまって良いパフォーマンスが発揮できたことです。元々グリップでもレースに参戦しているので、速く走るということに関しては得意だったので、それを今はドリフトも絡めて進化させているというところです。グリップとドリフトをうまく噛み合わせたところが勝因だと思います。

2位 村越選手
正直悔しいです。先行の最終の出口でミスって相手に行かれてしまったので、それで点数を取られてしまったので、そこをうまく抜けていれば、結果は違ったかなという感じです。

3位 林選手
イヤーくやしいです。勝って引退宣言するつもり(冗談ですけど)。勝ちたかったです!!

オープン追走トップ3

土屋さんコメント
やっぱりハチロクだけって面白いねー。最近はハチロクが出ても勝てないから、出てこなくなる。でもハチロクだけになったら、これだけ100台も出てくれるようになるわけじゃない。ハチロクだけで勝負するなら出るという人がこれだけいるというのがうれしいね。俺たちはこういう人を大切にしたい。
優勝した小泉選手あれは練習しているな。めちゃくちゃうまいもん。N2日本一決戦やっても彼はいつもトップレベルにいるし、優勝もしているし、ドリフトもかなり練習しているね。あの走りは。うまいよ。
でも俺が今日最も目を引いた走りをしていたのは総合2位の村越選手。あれはたいしたものだよ。まったく無名なのに。今後このイベントが盛り上がるためには今日の村越のようにくすぶっている無名のハチロク乗りが出てきてもらうことだよね。そのために続けて行きたい。まさにAE86ドライバーの日本一決定戦にしていきたい。

表彰式

今や、中古車購入するには約300万円以上と高騰しているAE86。
今回のイベントで大きなアクシデントもなく、すべてのクルマが無事に帰れたことが今後、さらにこのイベントが盛り上がっていくことにつながるのだろう。